株の専門家の意見
夏場には氷は当然よく売れるが、それ以外の季節の売り上げが芳しくなかった。
繁閑の差をなくすためにパンや牛乳を扱ったところ、売り上げだけでなく利益も上がることがわかった。
取扱商品数を徐々に増やすようになり、現在のコンビニエンスストアの原型ができあがったという。
実はS社は91年に破綻する前にも一度、同じ経験をしている。
29年の株価大暴落の余波を受け、32年自己破産に追い込まれた。
破産後S社の従業員は1週間(7日間)店を開け、毎日午前7時から午後7時までしゃにむに働いた。
自らを「777野郎」と名乗り、再建を果たした。
当時のS社は相次ぐ企業買収によって企業規模が大きくなったため、店舗看板が統一されていなかった。
アラスカのトーテム・ポールを店舗の近くに置いたところ、周辺の話題になり「トーテム・ストア」という名称を使用した店があったかと思えば、買収先の「シティー・アイス」をそのまま看板に掲げていたところもあった。
看板は違っているものの取扱商品や営業時間などはほぼ同じだったので、46年に看板を統一することになった。
既にそのころ多くの店の営業時間が午前7時から午後11時だったことから、店名を「S」に決めた。
S社は第2次世界大戦後、大量生産と大量消費に加えて時間を節約しようとする消費者の購買行動をうまくとらえ、業容を急拡大していった。
出店のエリアはテキサス州から次第に米国南部を中心に広がった。
創業時の製氷会社という経営資源を生かし、氷と清涼飲料、アイスクリーム、ビールなどを冷えたまま販売することが特徴でもあった。
社名のSは「南国土地」の意味だが、それは当時の出店地域も指し示していた。
Sの絶頂期は80年代前半だった。
ロサンゼルスーオリンピックが開催された1984年には、売上高が初めて百億ドルを突破し102億3千500万ドル(前年比37%増)、純利益は1億6千215万ドル(同21%増)、店舗数は7千4百713店(同2%増)と空前の決算を達成した。
ロス五輪用のための自転車競技場をそっくり寄付するなど、優良企業の名をほしいままにし、85年度には創業以来の最高益(純利益2億1253万ドル)を達成した。
だが、破綻に至るまでの時間はそんなにかからなかった。
1987年6月、フランス東部地中海沿いにある観光都市のモナコで開かれた日本のSの3千店突破記念祝賀パーティーの席上、Y堂社長(当時)のIはS社会長のジョンートンプソンから、ハワイのS事業についての買収の打診を持ちかけられた。
最高益達成から2年足らず。
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